「なぜ新規事業は成功しないのか」(大江建著)のメソッドを使って新規事業のコンサルティングをしています。

Asean Report

日本企業のビジネスチャンスを感じさせるCambodia Business Model Competition

2012.11.20

■Cambodia Business Model Competitionとは
  2012年11月6日から11日までカンボジアに行って来ました。首都プノンペンは11月16日からのアセアン外相会議と首脳会議を控え、町中が慌しい雰囲気に包まれていました。野田総理大臣や米国オバマ大統領オバマ氏らも11月18日から参加することから、ホテルの警備も厳重です。また、中国リスクの影響から、日本企業のなかには新たな進出先としてカンボジアを選んだところも多くなっており、日本企業を対象とするコンサルティング会社や会計事務所などが対応に追われているようでした。
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  今回のプノンペン訪問の目的は、Cambodia Business Model Competitionの最終審査まで残っている学生達のチームに対し、審査対象となる事業計画書を修正するためのワークショップを行なうことです。
このCompetition は、フォーバル株式会社の代表取締役会長 大久保秀夫氏が理事長を務める公益法人CIESFと現地のPuthisastra 大学と早稲田大学の共催で開催しているもので、今回で3回目を数えます。過去2回はCambodia Business Plan Contestという名称で行っていましたが、今回からCambodia Business Model Competitionに名称変更しました。その背景には、今までの事業計画書が財務計画中心であったのに対して、今後はビジネスモデルに重きをおいて、より実践的な事業計画を集めようという趣旨にしたことがあります。
  学生達には英語で事業計画書を書くことを要求します。このようなハードルがあるにも関わらず、今年は、カンボジア国内の主要18大学から、総計82件の応募がありました。応募された事業計画書については書類審査を行ない、20の案件に絞ります。これらの案件は第2次選考のプレゼンテーションに進み、更にその半分の10案件が最終発表に出場できるのです。
  先述のように、この10案件が今回のワークショップの対象です。このワークショップを通じて、各チームの学生は、ビジネスモデルをより明確にすることが求められます。この講座は、最終発表会当日の1月26日まで毎週土曜日にPuthisastra大学で継続的に開催され、同大の教授だけでなく、現地のビジネスマンや会計士達が指導にあたってくれる予定です。教材としては、Business Model Generation (Osterwalder et al., 2010)を利用しています。
  今回のワークショップでは、このBusiness Model Generationの記述に倣い、ビジネスモデルを9つの要素に分解して捉えています。特に、今回は、その要素のなかでも、「価値創造」と「顧客セグメント」を最重要要素として指導しました。そのため私どもの手法であるアトリビュート分析を用いて、議論を深めていきました。
  次に強調したのは、収益の流れ、とくに売上単位についてです。さらにその売り上げを確保するための主要資源と主要業務の関係を明確にするように指導しました。
 
■日本に既に知見ある学生のビジネスアイデア
  最終審査に残っている10案件は、期せずして次の(1)~(3)のような分野に類型化することができました。
 具体的には、次のような事業が挙げられています。

(1)カンボジアの安価で豊富な天然素材を利用したもの
①「パーム有機酢」
②「米殻ストーブ」
③「マンゴチップとジャム」
④「ココナツ殻のバイオ食器」
⑤「ヘチマたわし」
⑥「米殻バイオマス発電事業」

(2)農業の振興を支援する事業
⑦「食品コンサルティング事業」
⑧「米農作業と稲作ローン事業」

(3)プノンペン市の大都市化を反映した事業
⑨「女子学生用の寮」
⑩「学童保育園事業」
 
■課題先進国である日本の貢献の可能性
  天然素材を利用する事業は、日本でも提案されたり、事業化されたりしている事業です。例えば「米殻ストーブ」はこのたびの東日本大震災でも活用されており、これを機に緊急時用として公共施設や家庭でも用意されるようになっています。また、大都市化に対応する事業や、農業振興事業なども、「課題先進国」」と言われる日本には既にいろいろな技術やノウハウがあるものです。
  日本企業は、新興国で今後需要が拡大する分野において、既にいろいろなノウハウを蓄積しています。さらに、カンボジアでは原材料を安価で豊富に獲得ができることも十分に考えられます。このように考えてみると、新しいビジネスの展開や協力をしていく余地が十分にあるといえるでしょう。
 
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学生達の最終発表会は、2013年1月26日からプノンペン市の日本センターで行われます。見学者のお受け入れも可能です。本件に関して、詳しい情報をお求めの方はこちらまでお問い合わせください。
(担当:石黒)